前川 伸哉先生からのメッセージ

山梨大学 第一内科講師 消化器内科
昭和63年 東京医科歯科大学卒

前川 伸哉

田中雄二郎教授、御退任おめでとうございます。先生には、私が医科歯科大学第二内科消化器グループに所属して以降、長い間お世話になっており本当に感謝しております。思い出深いのは、卒後10年して私が関連病院から医科歯科大学に医員(研修医のオーベン)として戻った際に、先生にご指導頂いた2年間です。当時、何とか過ごせたのは、先生から頂いた様々なアドバイスによるところが非常に大きかったのですが、その中でも特に、複雑な社会的背景を持たれたTさんの診療には強烈な印象が残っており、先生の御指導なしには医療行為そのものが不可能な状態でした。

またその後も、暫くして行く先がなかった私を立ち上げられてから間もない総合診療部に一時期在籍させて頂き、その際にも温かく迎えていただきました。本当にありがとうございました。

当時から感じておりましたが、先生は単純な医者生活しか社会経験のなかった私のような者は得ることがなかった知識・発想と実行力をお持ちでした。またどんな若い先生・学生にもフレンドリーで喋りやすい雰囲気を醸し出される一方で、必要によっては目上の先生方に対し、マイルドながら厳しいこともはっきりと意見されていたように思います。先生はコミュニケーションの達人です。

先生を通じて、医者に限らず人間として生きていく上で、幅広い教養が必要であることを強く感じました。幅広い知識の下で自分の立ち位置を理解し、自分が何をすべきか常に考え、他者とのコミュニケーションをとりながら、しなやかに行動できる能力が今後もさらに重要なのではないかと思っております。

御退任はとりあえずの区切りでございますので、本拙文を仮のお祝いとさせて頂きますが、先生には今後も我々のことを御指導いただかないと困りますので、そこのところを是非ご自覚いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。この度は本当におめでとうございます。(追記:学長ご就任誠におめでとうございます!)