南郷 栄秀先生からのメッセージ

JCHO東京城東病院 総合診療科
総合診療,EBM,医学教育
平成10年卒

南郷 栄秀

私が学部を卒業した二十数年前、田中先生は第2内科の医局長でいらっしゃいました。当時、学外で初期臨床研修を受けており、医局員でもなかった私でしたが、何かと気にかけてくださって、学生を対象としたEBM勉強会pES clubを立ち上げたいという話をしたところ、それは良いことだと、会場となる部屋を快く提供してくださいました。東京近郊の諸大学の医学生、歯学生、薬学生、看護学生を集め、毎月勉強会を行うようになって3年ほど経った頃、田中先生が教授に就任なさった総合診療部に、博士課程が設置されることになりました。そして、pES clubの活動を研究にまとめたらどうかとお誘いくださり、私は社会人大学院生第1号になりました。卒後一貫して学外に身を置いており、自分が博士号を取るなど想像もしていませんでしたので、お声がけいただき大変感激したのを覚えています。多学部合同でのEBM教育については、医学教育学会で既に何度か発表していたもののさほど注目されることは無かったのですが、きちんとランダム化比較試験を行い、博士論文の形にまとめることができたお陰で、その後数年経って医学教育の世界でも多職種連携が重視されるようになると、先駆的な研究だと評価されるようになりました。以前から独学で論文を読む技術は磨いていましたが、自ら研究を手掛けたのは初めての経験で、田中先生から直接ご指導いただけたことに本当に感謝しております。

また、卒後7年目からこれまで毎年、医学部の後輩達に講義をする機会を与えていただいたことも、私自身が市中病院にありながら教育に主軸を置いた仕事をし続けてこられた原動力となっています。次々と要職に就かれ、今や東京医科歯科大学になくてはならない人物となられた田中先生ですが、医師として、医学教育者としての私の人生においても、田中先生の存在の大きさは計り知れません。おかげさまでpES clubも今年で19年目を迎えました。長期に渡って継続できていることは、ひとえに田中先生をはじめ臨床医学教育開発学分野の方々が温かくご支援くださっている賜物です。

田中先生には、教授ご退任と同時にめでたく学長に就任され、なお一層お忙しくなることと思いますが、どうかお体だけは大事にしていただきたいと切に願っています。本学並びに本分野の末永い発展と、田中先生の今後ますますのご活躍を祈念しております。

田中先生と