卒業生からのメッセージ

この度田中雄二郎先生のご退任に伴い、先生に寄せるメッセージを一筆寄せさせていただきます。

田中先生の講義ほど大人数の生徒の記憶に残っている講義はないかもしれません。私たちのモチベーションを上げるプレゼンテーション、効果的に教育ができるよう対話してくださる姿勢は、低学年から高学年にわたって常に印象に残りました。そして何よりも、田中先生は学生の名前をどの先生よりも覚えてくださっていました。個々の学生を見てくださる先生がいらっしゃるのか、と大学教育に対しての信頼の礎となったように覚えています。

私は縦断チュートリアルでは担任もしていただきました。2-6年生が集まる中で、症例を毎回検討する時間が設けられていました。先生もご同席してくださり、下級生も巻き込みながら対話がなされていく様子は、教育に力を入れる田中先生らしいグループでした。また毎回、優秀な人からそうでない人まで、臨床にまっすぐな人から珍しい方向を目指す人まで、田中先生はグループ一人ひとりの状態を把握して、自らのご経験も交えてお話をしてくださりました。そんな個々人を見てくださる田中先生のグループであったことは私の支えであったと思います。

卒業時にはわざわざ時間を取り、これからの医師人生の心構えを説いていただきました。また、卒業後にご連絡した際にも、一卒業生にも気にかけていただくけることに、感謝の思いでいっぱいでした。さらに臨床教育や初期研修に関して意見を求めてくださり、常に学生や研修医について考えていただいているのだなと感銘を受けました。

学生の頃、将来の理想を書き表す時間をいただきました。その時に書いた像に向かってひたすら進んでいます。先生にいただいたお言葉を胸に、東京医科歯科大学を卒業したという誇りをもって、またいつか自分の学びを母校に還元できるよう、さらに努力していこうと思います。

最後になりましたが、田中先生のこれからの益々のご活躍をお祈りしております。