水谷 知裕
現在の所属 | Hubrecht Institute, Hans Clevers Group, Postdoctoral fellow 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科消化器病態学 |
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専門 | 消化器内科 |
卒業年次 | 医53・H17年・2005年 |
田中雄二郎先生の退任に際し寄稿のチャンスをいただけると伺い、留学先のオランダより筆を執りました。私が学生時代の大学は、CBTやOSCEの開始といった医師養成教育の転換点にあって、東京医科歯科大学がその先陣を切るという激動の時期にありました。加えて臨床研修制度必修化に移行するとあって、私達学生は先行きの見えない不安に苛まされていたと思います。そんな中、学生側に寄り添い、大学の先輩として、大学病院の組織改革に勤しんでこられたのが田中先生でした。その後、初期臨床研修必修化の波に乗って、地方市中病院へのマッチングを決めた私に、「いつの日か必ずアカデミアに戻って研鑽しなさい」と言って送り出してくださったのも田中先生でした。その言葉は、多忙を極める市中病院での臨床研修においても不思議と頭の片隅に残り続け、私を大学院での研究へと導いてくれました。そして気がつけば志した研究分野の第一人者が率いる研究室へと留学するに至りました。渡航直前に留学をご報告した際も「蘭学いいじゃない、頑張りなさいよ」と学生時代から変らない笑顔で送り出してくださったことは今も私を支えてくれています。このように人生の岐路でいつも私の決断を支えていただいた田中先生ですが、大学での外来業務でも支えていただきました。内科外来で患者さんとヒートアップしてしまった時、隣のブースからクールダウンに来ていただいたのは恥ずかしながら良い思い出です。また、先生の外来代診をさせていただいたことがありますが、担当患者さんのお話やカルテから、多忙な大学業務にあっても常に丁寧な診療姿勢を貫かれていることを伺い知ることができました。
ご退任後も東京医科歯科大学のため益々ご多忙のことと思いますが、私達後輩が東京医科歯科大学を盛り立てていけるよう今後もご指導のほど宜しくお願い申し上げます。