乗松 百合絵
現在の所属 | 東京大学医学部附属病院皮膚科 |
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専門 | 皮膚科 |
卒業年次 | 医63・H27年・2015年 |
田中雄二郎先生との思い出
この度本学教授、田中雄二郎先生が2020年3月をもって退任されると伺いました。光栄にも退職記念誌の寄稿文を執筆する機会を賜り、大変恐縮ではございますが、筆をしたためさせていただきます。「田中先生がもうご退任されるのか」とご連絡をいただいた時、時の流れの早さに驚くとともに、個人的な思い出の数々も思い出し、寂しさが募りました。
田中先生は私にとって、東京医科歯科大学の教授陣の中でも特別な存在です。学生時代のご指導はもちろんですが、その後も公私にわたり非常にお世話になり感謝の言葉は尽くせませんが、この寄稿文を寄せることで少しでも恩返しができたらと思っております。
田中先生と私との出会いは学生時代のプロジェクトセメスターの時でした。田中先生の指導は研究テーマを自分で考えることからはじまりました。かなり戸惑いましたが、OSCE受験とほぼ同時期であったことから、OSCEに協力いただいている模擬患者を対象するというアイデアが私の頭に浮かびました。今振り返ってみると突拍子もないアイデアだったと思いますが、田中先生は真剣に向き合ってくださり、私の研究の進捗状況をいつも気にかけ、ご助言してくださいました。結果的に自分の考えたプロジェクトを成し遂げるという達成感を感じさせていただきました。さらにそれだけではなく、田中先生のご厚意で、英語ポスター作成および学会発表の機会を与えていただきました。学生時代にこのような経験をさせて頂けたことは、非常に貴重な経験であり、田中先生には非常に感謝しております。
卒業後も私が困っているタイミングで度々田中先生からお気遣いや貴重なご助言を頂きました。中には私の人生の大きな選択に関わるようなものもありました。師が田中先生で本当によかったと卒後も何度思ったかわかりません。
また、私と主人の結婚式で田中先生に恩師として祝辞をいただきました。大変ご多忙の中、先生にお越しいただき、改めてお礼申し上げます。ご祝辞で「一番長く関わった学生」とお話頂き、その他も身に余るお言葉をいただいたと思っております。主人の主賓の元厚生労働大臣の塩崎恭久先生および塩崎恭久先生のお父様の塩崎潤先生と、田中先生のお父様である田中六助先生がお知り合いであったということにも不思議なご縁を感じました。
制度上やむを得ないこととはいえ田中先生がご退任なさることは本学にとって大きな損失と存じます。先生のご退任は本当に残念なことではありますが、本学だけではなく日本の医学界での今後のより一層のご活躍を切に祈念いたしております。先生の数々のご業績及び本学へのご献身に対し心からの賞賛と御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。