沼沢 祥行先生からのメッセージ

沼沢 祥行

現在の所属 千葉健愛会あおぞら診療所
専門 神経内科
卒業年次 医54・H18年・2006年

教育マインドとは何かを教えて頂きました
―臨床と教育と地域と―

田中雄二郎先生は臨床教育センター長、医療連携支援センター長を歴任され、医育機関としての大学と附属病院が何を為すべきかということについて実践、体現されてきました。そのマインドが現在の総合教育研修センターや医療連携支援センターに間違いなく息づいており、私たちはそのおかげで育ってきたと実感しております。

私の中に、田中先生の教育における動的な姿が強く印象付けられております。田中先生は、学生や研修医である私たちにいつも直接声をかけ、直接話を聴いてくださっていました。間を介することなく、直接現場の声を聴くというのは、その意識があっても実践は必ずしも誰にでもできることではないと思います。ご自身の実践を通して、直接現場の意見を聴くことが最も重要である、ということを私達にお示しになっていたのだと思います。それは同時に、「あなたたちはいつまでも若手ではない」、したがって「ちゃんと現場の声を聴く姿勢を失わないようにしなさい」ということを明確に伝える意図がおありになったのだろうと思います。

また、臨床教育センター長として学生や研修医にレクチャーをなさるとき、前後左右に学生や研修医の間を歩き回りながら話をされていました。必然的に聞いている学生や研修医は頭部が右に左に回旋し、一定の緊張感をもって聴講することとなります。学会のシンポジストのように檀上から動かずに話すなどという形はとらず、いつも「伝える相手との距離」について、その教育効果の観点から熟慮されて実践されていたということだと思います。

私は研修医2年目の2007年、千葉健愛会あおぞら診療所での1か月の正規の地域医療研修が終わったあと、すでに神経内科に入局は決めていましたが、引き続き地域での学びを継続する重要性は大きいと感じ、「あおぞら診療所での地域医療研修を終えました。大変実りの多いもので、将来の自分のvisionに大きな影響を与えるものでした」とメールを送らせて頂き、“地域医療研修をさらに2か月間追加させて欲しい”、と訴えました。そして、当時の臨床教育センター副センター長でいらした山脇正永先生に時間を頂いて、“あるめいだ”でプレゼンテーションさせた頂いたのが今でも鮮明に記憶に残っています。

結果的に、地域医療研修を追加で2か月継続することはできませんでしたが、先生がアレンジされてきた地域医療研修の経験、そして2007年にご相談させて頂いたことが、今の私の土台になったことは間違いありません。私は、2018年に総合診療科に異動し、そして2019年度に総合診療科関連施設として、改めて千葉健愛会あおぞら診療所で経験を積ませていただいておりますが、2007年の地域医療研修が一周まわって今に至っておるわけで、このようなご縁を頂けたこと、与えてくださったことに、心より感謝しております。

今後もますますお忙しい日々が続くのではないかと想像しますが、是非とも健康にだけはお気をつけいただき、今後もご指導いただけることを切に願います。