私達は2004年に本学を卒業しました。この年は医師臨床研修制度が必修化された最初の年で、どの病院でも対応に追われ全国的に混乱を極めた時代でもありました。私達学生側も初期研修の必修化が決まると聞き、先輩のいない初めてのプログラム、初めてのマッチング試験と、何から準備すれば良いかも分からず不安な日々を過ごしました。

そのような中、当時臨床教育研修センターの田中教授を中心に山脇先生、大川先生は私達に対し本学の取り組み、研修の目標を何度も何度も詳しくご説明していただきました。そこには綿密な準備による「自信」さえ感じられました。そして田中教授がおっしゃっていた「とにかく皆さんが安心して研修できる環境づくり」に感銘を受け、私は本学で初期研修を受けることにしました。とても充実した研修の日々は感謝の意に堪えません。そのスピリットは受け継がれ、今でも数多ある初期研修施設の中で押すに押されぬ人気病院であり続けています。

田中教授には学術的なことだけでなく教育や医療のマネジメント、そして医学教育も臨床業務も環境が整ってこそベストパフォーマンスを生み出せるということを教わってきました。奇しくも2018年より新専門医制度が始まり、私も本学の外科専門研修プログラムの運営に携わりながら、後輩達に知識や経験を伝える機会も増える年代となりました。医学生や研修医の皆さんが集中できる環境づくり、そして彼らの成長こそが田中教授へのせめてもの恩返しになると思い、これからも励んでいく所存でおります。