須佐 紘一郎先生からのメッセージ

須佐 紘一郎

現在の所属 東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 腎臓内科学
卒業年次 医53・H17年・2005年

平成17年卒の須佐紘一郎と申します。大学でお見かけする田中雄二郎先生の精力的なお仕事ぶりは、私が学生時代に初めて目にしたときと全く変わらないように感じていたのですが、もうご退任とは信じられない思いです。

私は医学部の学生時代に、体調を崩して本学の消化器内科に入院したことがあります。医学生にとって自分が入院するというのはなかなか強烈な出来事で、今でも入院した病室やベッドの位置もよく覚えていますが、そのときの外来主治医がなんと田中雄二郎先生だったというのがまた特別な体験でした。最初のご担当は別の先生でしたが、学生が入院するという話を聞きつけた田中先生がわざわざ駆けつけて下さったのです。

「須佐君、大丈夫? 退院したら僕の外来においで。」

これは忘れられません。田中雄二郎先生は当時から学生の我々にいつも寄り添って下さっていたとはいえ、雲の上の存在です。一介の学生がその田中先生に教育だけでなく外来通院まで面倒を見て頂けるなんて、こんなに手厚いことはありません。

「須佐君、新患カンファだけど、自分で自分をプレゼンするというのはどう?」

これも忘れられません。医者でもあり教育者でもあることを象徴する究極のお言葉です。純粋な若者だった私は、病床で自らのサマリーを書く覚悟をしました。実際にはもちろん田中先生のいつものユーモアだったわけですが、実現していたら伝説的な学生になれたことでしょう。

退院後もしばらく外来に通い、当時ワンダーフォーゲル部に所属していたので、いつから登山(と飲み会)を再開してよいか、くだらないことも含めて相談に乗って頂きました。やがて「もう来なくて大丈夫だよ」と、めでたく放免となりました。

おかげさまですっかり元気になり、登山も再開し、日本アルプスや富士山にも元のようにちゃんと登れるようになりました。もちろん学業にも復帰し、無事に医師国家試験に合格し、卒後15年目となる現在も大学で健康に働けております。田中先生、本当にありがとうございました。