吉澤靖之学長からのメッセージ

東京医科歯科大学 学長

吉澤 靖之

田中雄二郎先生の定年退職に当り、お祝いを兼ねて先生との巡り合いを書くこととします。

私が20年間学外に勤務し、本学に戻って5年後に教授になって間も無く、田中雄二郎先生の名を知ることとなった。それ迄は診療上も研究上も接点が無く、名目上の付き合いしか経験していなかった。

2000年医学部教育担当の教授選があり、その時候補の一人として浮上したので身近に感じるようになった。2001年教授選の結果は、田中教授の誕生となった。その後、医学部教育は佐藤達夫医学部長(当時)、麻生産婦人科教授(当時)、田中教授の尽力で医学教育の改革が次々と行われた。

次に一層私の身近な存在になったのは、宮坂病院長(当時)下で副院長、そして2013年病院長となってからである。私が当時医療担当理事であった為、お互いに相談事が多くなり、頻繁に会って議論するようになった。本学の医療上の問題点については、意見が一致することが多く、目的へ向かうプロセスの采配は見事な程であった。

この頃の一番の印象は物事を進めるのに、スムーズに余り障害もなく大きな成果を出す実務者としてであった。さすが、親の血を引く能力と驚いた。

2014年、私が学長に就任するに当り、私の後任として先生を医療担当理事にお願いしたのは、それ迄の実行力を期待したからであった。その後は医療問題に限らず人事面、教育面での活躍は目を見張るものがあり、特に医療関連については完全にお任せ状態で良かった。

私が不勉強で不出来の為、大学を卒業出来ないでいる間に、田中理事が定年退職となり、ハテ私の年齢はと自分の歳を改めて考えた次第である。

現役教授としての仕事と理事としての仕事の両者を、順調に着実に成果を上げるのは大変だったと思います。

取り敢えず、現役教授の仕事がなくなり、教室運営で頭を痛めることは解消したので“おめでとう”とお祝いを言いたいと思います。

まだまだ若いので、今後も大学の為に益々の活躍を願っています。